2月26日の衆院予算委員会分科会で加藤勝信内閣官房長官は、
皇位の安定継承を巡り、「男系」維持を唱える人々が
拘(こだわ)っている旧宮家系男性に新たな皇籍取得を
可能にする方策について、当事者への意向確認は
「現時点で考えていない」と答弁した
(産経新聞、同日13時28分配信、共同通信、13時30分配信)。実は、令和2年2月10日の衆院予算委員会でも、
当時の菅義偉官房長官が、当事者への意向確認は今後も「考えていない」旨の
答弁を行っていた。
対象となる人々は皆さん、言う迄もなく国民だ。
当然、強制はあり得ない。
ご本人の同意が最低限のスタートラインになる。
にも拘(かかわ)らず、意向確認を考えていないということは、
政府が「現時点」では、旧宮家案を具体的な選択肢に含めていない、
と述べたに等しい。
例の「男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重み“など”を
踏まえ“ながら”、“慎重かつ丁寧”に検討を行う必要がある」という、
目眩(くら)まし効果抜群の霞ヶ関文学(官僚作文術)の最高傑作的文言は、
今回も活用された。しかし、その重みなどを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討を行った結果、
非嫡出の継承可能性が無い等の条件下では、「女性・女系」を認めることが
不可欠、というのが小泉純一郎内閣の時の有識者会議報告書のロジック
だった。だから、今回の答弁で注意すべきは、「現時点で」という限定を
どう評価するかだろう。
菅答弁では、「今後も考えていない」という趣旨だったのに対し、
現時点では考えていなくても、今後は分からない
(選択肢に加えるかも知れない)、という含みを感じさせる
言い回しになっている。旧宮家案の現実的な困難さを政府は深く理解しているはずだが…。
さすがに、菅答弁の真意に気付いた男系維持論者の反発を、
少しでも弱める配慮をしたのか。【高森明勅公式サイト】
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